WiFi繋がらないスマホだけ家で起きる原因7つと解決手順を解説

「PCやタブレットは繋がるのに、スマホだけWiFiに繋がらない…」
この状況、かなり焦りますよね。家族のスマホは問題なく使えているのに、自分のスマホだけがWiFiに接続できない。何か壊れたのではないかと不安になる気持ちはよくわかります。
結論から言うと、スマホだけWiFiに繋がらない場合、ほとんどは設定の問題で解決できます。スマホの故障やルーターの故障である可能性は、実は高くありません。
この記事では、まず原因を正しく切り分ける方法を説明し、その後で具体的な解決手順をiPhone・Android別に解説します。順番に試していけば、多くの場合は自力で解決できるはずです。
まず確認|スマホだけ繋がらない時の原因切り分けチェック
いきなり設定をいじる前に、まずは状況を正確に把握しましょう。原因の切り分けができていないと、的外れな対処をして時間を無駄にしてしまいます。
チェック①|他のデバイスは本当に繋がっているか
「他のデバイスは繋がっている」と思い込んでいるだけで、実は繋がっていないケースがあります。
PCやタブレットでWebサイトを開いてみてください。キャッシュ(一時保存されたデータ)で表示されているだけで、実際にはネットに繋がっていない可能性があります。
Googleなどの検索サイトで何か検索し、新しい検索結果が表示されるか確認してください。これが正常に動作すれば、ルーターとインターネット回線は問題ありません。
チェック②|スマホのWiFi設定画面に何が表示されているか
スマホのWiFi設定画面を開いて、状態を確認してください。
状態別の意味として、「接続済み」と表示されているのにネットが使えない場合はIPアドレスの問題の可能性があります。「保存済み」と表示されている場合はパスワードエラーまたは接続拒否の可能性があります。ネットワークが一覧に表示されない場合はWiFi自体がOFFか電波が届いていない可能性があります。「認証に問題」と表示されている場合はパスワードが間違っています。
この表示内容によって、対処法が変わってきます。
チェック③|4G/5G回線では通信できるか
WiFiをOFFにして、モバイルデータ通信(4G/5G)でインターネットに接続できるか確認してください。
モバイルデータで正常に通信できる場合は、スマホ本体やSIMカードの問題ではなく、WiFi接続に関する問題です。モバイルデータでも通信できない場合は、スマホ自体に問題がある可能性があります。
スマホだけWiFiに繋がらない7つの原因
原因を正しく理解することで、適切な対処ができます。よくある原因を7つ紹介します。
原因①|スマホのWiFi機能がOFFになっている
最も基本的な原因です。何かの拍子にWiFiがOFFになっていることがあります。
特に「クイック設定パネル」(画面上部から下にスワイプして表示されるショートカット)で誤ってOFFにしてしまうケースが多いです。
原因②|機内モードがONになっている
機内モードがONになっていると、WiFiを含むすべての無線通信がOFFになります。
機内モードは飛行機のアイコンで表示されます。知らない間に誤タップでONになっていることがあります。
原因③|WiFiパスワードが間違っている・変更された
家族がルーターの設定を変更した、ルーターをリセットした、などの理由でWiFiパスワードが変わっている可能性があります。
特に「保存済み」と表示されているのに接続できない場合は、古いパスワード情報が残っていて、新しいパスワードと合わないことが原因のケースが多いです。
原因④|IPアドレスの競合が発生している
IPアドレスとは、ネットワーク上での「住所」のようなものです。同じIPアドレスが複数のデバイスに割り当てられると、通信ができなくなります。
この問題は「接続済み」と表示されているのにインターネットが使えない場合に多いです。
出典:総務省「電気通信番号制度について」では、電話番号と同様に、IPアドレスも一意である必要があることが説明されています。
原因⑤|ルーターの接続台数上限に達している
家庭用のWiFiルーターには、同時に接続できるデバイスの台数に上限があります。一般的なルーターでは10〜32台程度です。
スマートホーム機器やIoTデバイスが増えた現代では、知らないうちに接続台数が上限に達していることがあります。
原因⑥|スマホのネットワーク設定に問題がある
過去に接続したWiFiの情報が蓄積されていたり、何らかの設定ミスがあったりすると、正常に接続できなくなることがあります。
特に中古で購入したスマホや、長期間使用しているスマホで起きやすい問題です。
原因⑦|MACアドレスフィルタリングで弾かれている
MACアドレスとは、デバイス固有の識別番号です。セキュリティのためにルーター側で「登録されたMACアドレスのデバイスだけ接続を許可する」設定になっていることがあります。
この設定がされている場合、新しいスマホや初期化したスマホは接続できません。
最近のスマホには「プライベートアドレス」機能があり、WiFi接続ごとにMACアドレスが変わることがあります。これがMACアドレスフィルタリングと競合して繋がらなくなるケースが増えています。
原因別|スマホだけWiFiに繋がらない時の解決手順
それでは、具体的な解決手順を見ていきましょう。簡単な方法から順番に試してください。
解決策①|WiFi設定と機内モードを確認する(iPhone/Android)
まずは最も基本的な確認から始めます。
iPhoneの場合は「設定」→「Wi-Fi」でWiFiがONになっているか確認します。機内モードは「設定」画面の一番上、または画面右上からスワイプして表示されるコントロールセンターで確認できます。
Androidの場合は「設定」→「ネットワークとインターネット」→「Wi-Fi」でONになっているか確認します。機内モードも同じ画面で確認できます。機種によって名称が異なる場合があります。
解決策②|WiFiを一度切断して再接続する
保存されているWiFi情報に問題がある場合、一度削除して再接続することで解決することがあります。
iPhoneの場合は「設定」→「Wi-Fi」→接続したいネットワークの右にある「i」マークをタップ→「このネットワーク設定を削除」→再度ネットワークを選択してパスワードを入力します。
Androidの場合は「設定」→「ネットワークとインターネット」→「Wi-Fi」→接続したいネットワークを長押し→「ネットワークを削除」→再度ネットワークを選択してパスワードを入力します。
パスワードを再入力する必要があるため、事前にWiFiパスワードを確認しておいてください。パスワードはルーター本体のシールに記載されていることが多いです。
解決策③|スマホを再起動する
ITの世界では「困ったら再起動」と言われるほど、再起動は多くの問題を解決する基本的な方法です。
スマホを完全にシャットダウンし、30秒ほど待ってから電源を入れ直してください。一時的なソフトウェアの不具合であれば、これで解決することが多いです。
解決策④|ネットワーク設定をリセットする(iPhone/Android)
これまでの方法で解決しない場合、ネットワーク設定をリセットすることで解決する可能性があります。
iPhoneの場合は「設定」→「一般」→「転送またはiPhoneをリセット」→「リセット」→「ネットワーク設定をリセット」を選択します。
Androidの場合は「設定」→「システム」→「リセットオプション」→「Wi-Fi、モバイル、Bluetoothをリセット」を選択します。機種によって名称や場所が異なる場合があります。
ネットワーク設定をリセットすると、保存されているすべてのWiFiパスワード、Bluetooth接続情報、VPN設定などが削除されます。重要な接続情報は事前にメモしておいてください。
解決策⑤|IPアドレスを手動設定に変更する
IPアドレスの競合が疑われる場合、手動でIPアドレスを設定することで解決できることがあります。
iPhoneの場合は「設定」→「Wi-Fi」→接続したいネットワークの「i」マークをタップ→「IPを構成」→「手動」を選択します。
手動設定の例として、IPアドレスは「192.168.1.XXX」(XXXは100以上の任意の数字)、サブネットマスクは「255.255.255.0」、ルーターはルーター本体に記載されているIPアドレス(例:192.168.1.1)、DNSは「8.8.8.8」を入力します。
ルーターのIPアドレスがわからない場合は、ルーター本体のシールやマニュアルを確認してください。
解決策⑥|ルーターを再起動する
スマホ側の問題ではなく、ルーター側の問題である可能性もあります。
ルーターの電源を抜いて30秒〜1分待ち、再度電源を入れてください。ルーターが完全に起動するまで2〜3分かかることがあります。
ルーターを再起動すると、接続されているすべてのデバイスが一時的に切断されます。家族が使用中の場合は事前に声をかけてください。
「他のデバイスは繋がっている」は本当か?見落としがちな落とし穴
「他のデバイスは繋がっているからルーターの問題ではない」と考えがちですが、実は見落としがあるかもしれません。
落とし穴①|他のデバイスはキャッシュで繋がっているように見えているだけ
先ほども触れましたが、PCやタブレットがキャッシュで動いているだけで、実際にはインターネットに接続できていない可能性があります。
必ず新しい検索を実行する、または普段見ないWebサイトにアクセスして、本当に通信できているか確認してください。
落とし穴②|2.4GHz帯と5GHz帯の違いを見落としている
最近のWiFiルーターは、2.4GHz帯と5GHz帯の2つの周波数帯で電波を発信していることが多いです。
| 周波数帯 | 特徴 | SSID例 |
|---|---|---|
| 2.4GHz | 壁を通りやすい、遠くまで届く、電子レンジ等と干渉しやすい | ○○○○-G、○○○○-2G |
| 5GHz | 高速、干渉が少ない、壁に弱い、届く距離が短い | ○○○○-A、○○○○-5G |
スマホが5GHz帯に接続しようとしていて、電波が弱くて繋がらないケースがあります。2.4GHz帯のSSIDに接続し直すと解決することがあります。
落とし穴③|ルーターの接続台数が上限に近づいている
IoT機器の増加により、家庭内のWiFi接続デバイスは増え続けています。
スマートスピーカー、スマートテレビ、ゲーム機、タブレット、PC、家族全員のスマホ…気づかないうちに10台、20台と増えていることがあります。
ルーターの管理画面にアクセスして、接続中のデバイス数を確認してみてください。上限に近い場合は、使っていないデバイスの接続を解除するか、ルーターの買い替えを検討する必要があります。
何をしても繋がらない場合の最終手段
ここまでの方法を試しても解決しない場合、より踏み込んだ対処が必要です。
スマホの初期化を検討する前に
スマホの初期化(工場出荷状態に戻す)は最終手段です。すべてのデータが消えるため、安易に行わないでください。
初期化を検討する前に、別のWiFiネットワーク(友人宅、カフェ、公共WiFiなど)に接続できるか試してください。別のWiFiで正常に接続できる場合は、自宅のルーター側に問題がある可能性が高いです。
ルーターの初期化を検討する
ルーターを工場出荷状態にリセットすることで問題が解決する場合があります。
ルーターにはリセットボタン(小さな穴に細い棒を差し込んで押すタイプが多い)があります。10秒ほど長押しするとリセットされます。
ルーターをリセットすると、WiFiのSSIDやパスワードが初期設定に戻ります。また、プロバイダの接続設定(PPPoE設定など)も消えるため、再設定が必要になります。設定に自信がない場合は、プロバイダのサポートに相談してください。
プロバイダやキャリアに問い合わせる
自分で解決できない場合は、専門家に相談するのが確実です。
ルーターの問題であれば、インターネットプロバイダまたはルーターのメーカーに問い合わせてください。スマホの問題であれば、携帯キャリアのショップやApple Store(iPhoneの場合)に相談してください。
出典:Apple「iPhoneのサポート」では、iPhoneのトラブルシューティングについて詳しく説明されています。
スマホの故障を疑う場合
他のWiFiでも繋がらない、WiFi設定画面自体がおかしい、といった場合はスマホのWiFiモジュール(WiFi機能を担う部品)が故障している可能性があります。
この場合は修理または買い替えが必要です。保証期間内であれば、メーカーや購入店に相談してください。
再発を防ぐためにやっておくべきこと
問題が解決したら、再発を防ぐための対策をしておきましょう。
WiFiの自動接続設定を確認する
よく使うWiFiは自動接続をONにしておくと便利ですが、古いネットワーク情報が残っていると問題の原因になることがあります。
定期的に使わなくなったWiFiネットワークの情報を削除しておくことをおすすめします。
不要なネットワーク設定を削除する
過去に接続したカフェやホテルのWiFi情報が大量に残っていると、接続トラブルの原因になることがあります。
iPhoneの場合は「設定」→「Wi-Fi」→「編集」で不要なネットワークを削除できます。Androidの場合は「設定」→「ネットワークとインターネット」→「保存済みネットワーク」から削除できます。
ルーターのファームウェアを最新に保つ
ルーターのファームウェア(内部ソフトウェア)を最新に保つことで、接続の安定性やセキュリティが向上します。
多くのルーターは管理画面からファームウェアの更新ができます。メーカーの公式サイトで最新版を確認し、定期的に更新することをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
特定のWiFiだけ繋がらない場合、そのWiFiのパスワードが変更された、MACアドレスフィルタリングで弾かれている、または電波が弱いことが考えられます。まずはパスワードを再確認し、ネットワーク設定を削除して再接続してみてください。
WiFiには接続できているが、インターネットには繋がっていない状態です。IPアドレスの問題、ルーターとインターネット回線の接続問題、またはDNS設定の問題が考えられます。ルーターを再起動するか、DNSを手動で「8.8.8.8」に設定してみてください。
何もしていなくても、スマホやルーターの内部で設定が変わることがあります。たとえば、OSのアップデート後に設定が変更されたり、ルーターのIPアドレス割り当てが変わったりすることがあります。まずはスマホとルーターの再起動を試してください。
WiFi接続の問題だけでスマホを買い替える必要はほとんどありません。この記事の対処法を試しても解決せず、他のWiFiでも繋がらない場合のみ、スマホの故障を疑ってください。まずは携帯ショップやApple Storeで診断を受けることをおすすめします。
まとめ|スマホだけWiFiに繋がらない問題を解決するには
家のWiFiにスマホだけ繋がらない問題について、原因と解決策を解説してきました。
この記事のポイントをまとめます。まず他のデバイスが本当に繋がっているか確認し、原因を切り分けることが大切です。多くの場合、WiFiのON/OFF確認、ネットワーク設定の削除と再接続、スマホやルーターの再起動で解決します。それでも解決しない場合は、ネットワーク設定のリセットやIPアドレスの手動設定を試してください。2.4GHz帯と5GHz帯の違い、接続台数の上限など、見落としがちなポイントにも注意が必要です。
順番に試していけば、ほとんどのケースは自力で解決できます。焦らず一つずつ確認していってください。
それでも解決しない場合は、プロバイダや携帯キャリアのサポートに相談することをおすすめします。


















