ノートPCスタンドはいらない?必要な人・不要な人の違いを解説

「ノートPCスタンドって、本当に必要なの?」
周りの人が使っているのを見て気になった、肩こりがひどいから調べてみた、でも買ってから後悔したくない。そんな気持ちでこの記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。
正直なところ、ノートPCスタンドは万人に必要なアイテムではありません。
しかし、多くの記事は「いらない」というキーワードで検索されているにもかかわらず、結局は「やっぱり買った方がいい」という結論に誘導しているものが少なくありません。
この記事では、中立的な視点から「本当にいらないケース」と「実は必要なケース」を明確に分け、あなたがスタンドを買うべきかどうかを自分で判断できる基準をお伝えします。
- スタンドが「いらない」と言える5つのケース
- スタンドが「必要」になる3つのケース
- スタンドなしで姿勢を改善する具体的な方法
- 買う前に確認すべきチェックリスト
ノートPCスタンドが「いらない」と言える5つのケース
まずは、スタンドを買わなくても問題ないケースから見ていきましょう。以下に当てはまる方は、無理に購入する必要はありません。
ケース1|外付けモニターをメインで使っている
自宅やオフィスで外付けモニター(ディスプレイ)を使っている場合、ノートPC本体の画面を見る機会は限られます。
外付けモニターであれば、モニターアームやスタンドで画面の高さを自由に調整できるため、ノートPC側にスタンドを導入するメリットはほとんどありません。むしろ、ノートPCはクラムシェルモード(画面を閉じた状態)で使用し、モニターとキーボードで作業する方が効率的です。
[concept-box1] 外付けモニターを使う場合、ノートPC本体の画面位置はさほど重要ではありません。投資するならモニターの高さ調整に資金を回す方が効果的です。 [/concept-box1]
ケース2|1日の作業時間が1~2時間程度
ノートPCスタンドが効果を発揮するのは、長時間にわたって画面を見続ける場合です。
1日1~2時間程度のメールチェックやネットサーフィン程度であれば、姿勢への影響は限定的です。短時間の使用であれば、スタンドなしでも身体への負担は蓄積しにくいとされています。
ただし、「1~2時間」というのはあくまで目安であり、すでに肩こりや首の痛みがある方は別の対策が必要になる場合があります。
ケース3|頻繁に持ち運ぶ必要がある
カフェや図書館、客先など、さまざまな場所でノートPCを使う方にとって、スタンドは荷物になります。
折りたたみ式のコンパクトなスタンドも存在しますが、それでもバッグの中で場所を取りますし、毎回セッティングする手間もかかります。移動が多い方は、スタンドの携帯性がストレスになる可能性があります。
- コンパクトスタンドでも200~500g程度の重量増
- カフェのテーブルは高さが統一されておらずスタンドが合わない場合も
- セッティングの手間で短時間作業には向かない
ケース4|すでに適切な高さのデスク環境がある
デスクや椅子がもともと適切な高さに調整されている場合、スタンドを追加しても大きな変化は感じにくいです。
人間工学的に理想とされるモニターの高さは、画面の上端が目線と同じか、やや下とされています。すでにこの条件を満たしている環境であれば、スタンドを導入しても改善の余地は少ないでしょう。
[jin_icon_info color=”#e9546b” size=”18px”] 参考:厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/anzeneisei02.html)
ケース5|膝上や寝転がっての使用がメイン
ソファで膝の上に置いて使う、ベッドで寝転がりながら使う。こうした使い方では、固定式のスタンドは役に立ちません。
そもそも膝上での使用は、排熱の観点からあまり推奨されませんが、ライトな用途であれば実際には多くの人がこのスタイルで使っています。この場合、スタンドよりもクッション型のラップデスクの方が適しています。
ノートPCスタンドが「必要」になる3つのケース
一方で、スタンドを導入した方がよいケースも存在します。以下に当てはまる方は、検討する価値があります。
ケース1|ノートPC単体で長時間作業する
外付けモニターを使わず、ノートPCの画面だけで1日4時間以上作業する場合、スタンドの効果は大きくなります。
ノートPCの画面は構造上、デスクに置くと目線よりかなり低い位置になります。この姿勢を長時間続けると、首を前に突き出すような姿勢になりやすく、首や肩に負担がかかります。
スタンドで画面を持ち上げることで、顔を上げた自然な姿勢で作業できるようになります。ただし、これは外付けキーボードとの併用が前提です(後述)。
ケース2|肩こり・首の痛み・ストレートネックに悩んでいる
すでに肩こりや首の痛み、ストレートネック(頸椎の湾曲が失われた状態)の症状がある場合、作業環境の改善は有効な対策の一つです。
[jin_icon_info color=”#e9546b” size=”18px”] 参考:日本整形外科学会「頸椎症性神経根症」(https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/cervical_radiculopathy.html)
[concept-box2] ただし、スタンドは医療機器ではありません。すでに痛みがある場合は、まず整形外科や接骨院で診察を受けることをおすすめします。スタンドはあくまで予防・環境改善のためのツールです。 [/concept-box2]
ケース3|冷却性能を改善したい(熱暴走対策)
ノートPCをスタンドに乗せると、底面と机の間に空間ができ、空気の流れが改善されます。これにより、排熱効率が向上し、熱暴走(サーマルスロットリング)による性能低下を防げる可能性があります。
特に、高負荷な作業(動画編集、ゲーム、プログラミングなど)を行う場合や、夏場にノートPCが熱くなりやすい場合は、スタンドによる冷却効果が実感しやすいです。
- 動画編集・3DCG・ゲームなど高負荷作業
- 夏場のエアコンなし環境
- ファンの音がうるさいと感じる(発熱のサイン)
- MacBook Air など、ファンレス設計のモデル
スタンドなしでも姿勢を改善する4つの方法
「スタンドは買いたくないけど、姿勢は改善したい」という方に向けて、スタンドなしでできる対策を紹介します。
方法1|椅子の高さを調整する
画面の高さを変えられないなら、自分の目線を下げるという発想もあります。
椅子の座面を高くすることで、相対的に画面との高さの差を縮めることができます。ただし、椅子を高くすると足が床につかなくなる場合があるため、その際はフットレスト(足置き)を併用するとよいでしょう。
方法2|厚い本やボックスで代用する
スタンドを買わずに画面を高くする最も手軽な方法は、厚い本や段ボール箱をノートPCの下に置くことです。
安定性に注意が必要ですが、数センチ高さを上げるだけでも目線の角度は変わります。まずはこの方法で試してみて、効果を実感できたら専用スタンドの購入を検討するという順序もありです。
[concept-box1] 「百科事典2冊重ね」や「A4サイズの箱」など、身近なものでまず試してみることをおすすめします。無料で効果を確認できます。 [/concept-box1]
方法3|外付けキーボードを導入する
実は、スタンドよりも効果的な場合があるのが外付けキーボードの導入です。
画面を目線の高さに上げた場合、当然ながらノートPC本体のキーボードは使いにくくなります。そのため、スタンドと外付けキーボードはセットで考える必要があります。
逆に言えば、外付けキーボードを導入すればスタンドがなくても手首の角度や腕の位置を自然に保てるため、姿勢改善の効果が得られます。
方法4|定期的に立ち上がって休憩を取る
どんなに環境を整えても、同じ姿勢を長時間続けることは身体に良くありません。
厚生労働省のガイドラインでも、1時間ごとに10~15分の休憩を取ることが推奨されています。スタンドを買うかどうか以前に、定期的に立ち上がってストレッチをする習慣をつけることが最も重要です。
[jin_icon_info color=”#e9546b” size=”18px”] 参考:厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(https://www.mhlw.go.jp/content/000539604.pdf)
よくある誤解「スタンドを使えば肩こりが治る」の落とし穴
ノートPCスタンドに関して、最も多い誤解がこれです。
スタンドだけでは解決しない理由
スタンドを使って画面を目線の高さに持ち上げると、確かに首を前に突き出す姿勢は改善されます。しかし、そのままノートPCのキーボードを使おうとすると、今度は腕を高く上げる不自然な姿勢になります。
つまり、スタンドで画面を上げたのに本体キーボードを使い続けると、肩こりの原因が「首」から「肩・腕」に移動するだけで、根本的な解決にはなりません。
本当に効果があるのは「画面の高さ+入力デバイス」のセット
姿勢を本気で改善したいなら、以下のセットで考える必要があります。
画面の高さ:スタンドまたは外付けモニターで目線の高さに調整
入力デバイス:外付けキーボード+マウスで、腕を自然な位置に置く
椅子:高さ調整可能な椅子で、足が床につく状態を維持
スタンドだけで解決しようとすると、かえって別の問題を生む可能性があります。この点は購入前に理解しておくべき重要なポイントです。
スタンドを買う前のチェックリスト
スタンドを購入するかどうか迷っている方は、以下の7項目を確認してみてください。
□ 1日4時間以上ノートPC単体で作業している
□ 外付けモニターを使っていない
□ 肩こりや首の痛みがある(または予防したい)
□ 外付けキーボードをすでに持っている(または購入予定)
□ 固定の作業場所がある(頻繁に持ち運ばない)
□ ノートPCの発熱が気になる
□ 予算2,000~5,000円を出す価値があると感じる
4つ以上当てはまる場合は、スタンドを導入することで作業環境が改善される可能性が高いです。
2つ以下の場合は、スタンドを購入しても効果を実感しにくい可能性があります。まずは本や箱で代用して試してみることをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
角度をつけて冷却効果を得る程度であれば、100均のスタンドでも効果はあります。ただし、目線の高さまで持ち上げる場合は高さが足りないことが多く、また耐久性や安定性に不安が残る場合もあります。まずは試してみて、効果を感じたらしっかりした製品にアップグレードするのも一つの方法です。
傾斜タイプはキーボードに角度をつける形式で、本体キーボードを使い続ける場合に適しています。垂直タイプは画面を大きく持ち上げる形式で、外付けキーボードとの併用が前提です。
傾斜タイプは姿勢改善効果は限定的ですが、冷却効果とタイピングのしやすさを両立できます。垂直タイプは姿勢改善効果が高い反面、外付けキーボードなしでは使いにくくなります。
MacBook、特にM1/M2チップ搭載モデルは発熱が比較的少ないため、冷却目的でのスタンドは必須ではありません。ただし、姿勢改善目的であれば、他のノートPCと同様に「使い方」で判断してください。MacBook Airはファンレス設計のため、高負荷作業時にはスタンドによる冷却効果が役立つ場合もあります。
画面を持ち上げる垂直タイプのスタンドを使う場合、本体のキーボードは確かに使いにくくなります。そのため、外付けキーボードとセットで使うことが前提です。傾斜タイプであれば本体キーボードを使い続けることができますが、姿勢改善効果は限定的です。
まとめ
ノートPCスタンドは「誰にでも必要」なアイテムではありません。
- 外付けモニターをメインで使っている
- 作業時間が1日1~2時間程度
- 頻繁に持ち運ぶ
- すでに適切なデスク環境がある
- 膝上や寝転がって使うことが多い
- ノートPC単体で1日4時間以上作業する
- 肩こり・首の痛みがあり、予防・改善したい
- 外付けキーボードと併用できる
- 冷却性能を改善したい
重要なのは、スタンドだけでは姿勢の問題は解決しないということです。画面の高さを上げるなら、外付けキーボードとセットで考えてください。
まずは厚い本やボックスで試してみて、効果を実感できたら専用スタンドの購入を検討する。この順序で進めれば、無駄な出費を避けることができます。


















