「1階に置いたホームルーターの電波が、2階の部屋まで届かない…」

工事不要で手軽に使えるホームルーターですが、戸建て住宅では2階の電波状況に悩む人が少なくありません。リビングでは快適なのに、2階の寝室や子ども部屋では動画が止まる、オンライン会議が途切れるといった問題が起きがちです。

この記事では、ホームルーターの電波が2階に届かない原因を詳しく解説し、お金をかけない対処法から機器を追加する解決策まで、状況に合わせた方法を紹介します。

読み終わるころには、あなたの家に合った最適な対策がわかり、2階でも快適にインターネットを使えるようになります。


ホームルーターの電波が2階に届かない5つの原因

まずは、なぜ電波が2階まで届かないのか、その原因を理解しましょう。原因がわかれば、適切な対策を選びやすくなります。

ホームルーターの設置場所が悪い

もっとも多い原因は、ホームルーターの設置場所です。

ホームルーターは外部の基地局から電波を受信し、それをWi-Fiとして家の中に飛ばしています。窓から離れた場所や、家の隅に設置していると、そもそも基地局からの電波を十分に受信できません。

また、家の端に置いていると、反対側の部屋には電波が届きにくくなります。Wi-Fiの電波は全方向に広がるため、家の中心に近い場所に設置するのが理想的です。

床や天井の構造が電波を遮っている

Wi-Fiの電波は、壁や床などの障害物を通過するたびに弱くなります。特に問題になるのは建物の構造です。

建材の種類電波への影響
木造比較的通りやすい。ただし断熱材の種類によっては減衰する
鉄筋コンクリート(RC)電波を大きく減衰させる。階をまたぐと届きにくい
鉄骨造(S造)鉄骨部分で電波が反射・減衰する
ALC(軽量気泡コンクリート)コンクリートより軽いが、電波は通りにくい

鉄筋コンクリート造の住宅や、床にコンクリートスラブを使用しているマンションでは、1階と2階の間で電波が大きく減衰します。

出典:総務省「電波の性質」

電波干渉を起こす家電や機器がある

Wi-Fiで使われる2.4GHz帯の電波は、さまざまな家電製品と干渉します。

電波干渉を起こしやすい機器:電子レンジ、コードレス電話、Bluetooth機器、ベビーモニター、ワイヤレススピーカー、古いワイヤレスマウス・キーボードなど

特に電子レンジは強力な電磁波を発するため、使用中はWi-Fiが不安定になることがあります。ホームルーターの近くにこれらの機器があると、電波が弱くなる原因になります。

2.4GHz帯と5GHz帯の特性を理解していない

Wi-Fiには主に2.4GHz帯と5GHz帯の2つの周波数帯があり、それぞれ特性が異なります。

周波数帯特徴
2.4GHz帯障害物を回り込みやすく遠くまで届く。ただし速度は遅め。干渉を受けやすい
5GHz帯高速通信が可能。ただし障害物に弱く、距離が離れると電波が弱くなる

2階で5GHz帯に接続しようとしている場合、電波が届きにくいのは周波数帯の特性によるものかもしれません。

ホームルーター自体の性能限界

ホームルーターの機種によって、Wi-Fiの出力や対応規格が異なります。

古い機種や安価な機種では、Wi-Fiの出力が弱かったり、最新の規格(Wi-Fi 6など)に対応していなかったりすることがあります。また、アンテナの数が少ない機種は、電波の到達範囲が狭くなります。

Wi-Fi 6(802.11ax)とは、2019年に策定された最新のWi-Fi規格。従来のWi-Fi 5と比べて通信速度が向上し、複数台の同時接続にも強くなっています。


今すぐ試せる!お金をかけない対処法5選

原因がわかったところで、まずはお金をかけずに試せる対処法から始めましょう。これだけで改善するケースも多いです。

設置場所を最適化する

ホームルーターの設置場所を見直すことで、電波状況が大きく改善することがあります。

設置場所の最適化ポイント

・窓際に設置する(基地局からの電波を受信しやすくするため) ・家の中心に近い場所を選ぶ(家全体に電波が届きやすくなる) ・1階と2階の中間にあたる場所を意識する ・床に直置きせず、棚の上など高い位置に置く ・金属製の棚や家具の中に入れない

特に重要なのは、窓際かつ家の中心に近い場所を選ぶことです。外部の電波受信とWi-Fiの家庭内への配信、両方を考慮する必要があります。

2階建ての戸建てで1階にホームルーターを置く場合、できるだけ2階に近い位置(階段の近くなど)に設置すると、2階への電波が届きやすくなります。

ホームルーターの向きや高さを調整する

ホームルーターの向きや高さを変えるだけで、電波状況が改善することがあります。

Wi-Fiの電波はアンテナから放射状に広がります。多くのホームルーターは内蔵アンテナを採用していますが、本体の向きによって電波の飛び方が変わります。

試してほしいのは以下の調整です。

調整項目試す内容
高さ床から1〜1.5m程度の高さに設置。棚やテーブルの上がおすすめ
向き本体の正面を電波を届けたい方向に向ける。90度ずつ回転させて最適な向きを探す
周囲の空間本体の周囲10cm以上は物を置かない。放熱と電波の妨げを防ぐ

電波干渉する家電から離す

ホームルーターの近くに電波干渉を起こす家電がある場合は、距離を離しましょう。

特に注意が必要なのは電子レンジです。電子レンジは2.4GHz帯の電磁波を使用しているため、Wi-Fiの2.4GHz帯と干渉します。ホームルーターと電子レンジは最低でも1m以上離すことをおすすめします。

また、水槽や大きな観葉植物も電波を吸収するため、近くに置かないほうがよいでしょう。

周波数帯を切り替える

2階で使用する端末の接続先を、5GHz帯から2.4GHz帯に切り替えてみてください。

5GHz帯は高速ですが障害物に弱いため、階をまたぐと電波が届きにくくなります。一方、2.4GHz帯は速度は劣りますが、障害物を回り込んで遠くまで届きやすい特性があります。

Wi-Fiの接続先は、スマートフォンやパソコンのWi-Fi設定画面で確認できます。多くのホームルーターでは、2.4GHz帯と5GHz帯で異なるSSID(ネットワーク名)が設定されています。末尾に「-5G」や「-a」がついているのが5GHz帯、「-2G」や「-g」がついているのが2.4GHz帯です。

ファームウェアを最新に更新する

ホームルーターのファームウェア(内部ソフトウェア)を最新版に更新することで、電波状況が改善することがあります。

ファームウェアの更新には、通信の安定性向上やバグ修正が含まれていることがあります。メーカーの公式サイトやホームルーターの管理画面から、最新版が配信されていないか確認してみてください。

主なホームルーターファームウェア更新の確認方法
ドコモ home 5G本体の設定画面またはドコモ公式サイトで確認
ソフトバンクエアー自動更新。手動確認はMy SoftBankから
WiMAX HOME本体の設定画面またはUQ公式サイトで確認
Rakuten Turbo自動更新。楽天モバイル公式サイトで情報確認

それでも届かないときの解決策

上記の対処法を試しても改善しない場合は、追加の機器を導入することを検討しましょう。

Wi-Fi中継機を導入する

Wi-Fi中継機(リピーター)は、ホームルーターからの電波を受信し、増幅して再送信する機器です。

Wi-Fi中継機とは、親機(ホームルーター)の電波を中継して、電波の届く範囲を広げる機器。コンセントに挿すだけで使えるタイプが多く、設定も比較的簡単です。

中継機は、ホームルーターと2階の部屋の中間地点(階段の踊り場など)に設置するのが効果的です。

Wi-Fi中継機のメリット・デメリット

メリット ・価格が安い(3,000円〜10,000円程度) ・設置が簡単(コンセントに挿すだけ) ・既存のホームルーターをそのまま使える

デメリット ・通信速度が半減する場合がある(中継のため) ・設置場所の選定が重要 ・SSIDが増えて管理が煩雑になることがある

中継機を選ぶ際は、ホームルーターと同じWi-Fi規格(Wi-Fi 5、Wi-Fi 6など)に対応した製品を選びましょう。規格が古いと、中継機がボトルネックになって速度が低下します。

メッシュWi-Fiシステムを構築する

メッシュWi-Fiは、複数のアクセスポイントを連携させて、家全体を1つのWi-Fiネットワークでカバーする仕組みです。

メッシュWi-Fiとは、複数のWi-Fi機器(ノード)が相互に通信し合い、シームレスなネットワークを構築する技術。部屋を移動しても自動的に最適なノードに接続が切り替わります。

中継機との違いは、通信速度の低下が少ないことと、SSIDが1つで管理しやすいことです。

比較項目Wi-Fi中継機メッシュWi-Fi
価格3,000円〜10,000円15,000円〜40,000円(2台セット)
通信速度中継により半減する場合あり速度低下が少ない
SSID親機と中継機で別々になることがある1つで統一される
設定難易度比較的簡単専用アプリで簡単
拡張性中継機を追加可能ノードを追加可能

ただし、ホームルーターとメッシュWi-Fiを組み合わせる場合は注意が必要です。ホームルーターにはルーター機能が内蔵されているため、メッシュWi-Fiのルーター機能と競合する「二重ルーター」状態になる可能性があります。

メッシュWi-Fi側を「ブリッジモード」または「アクセスポイントモード」に設定することで、この問題を回避できます。

有線LANで2階まで配線する

もっとも確実な方法は、有線LANケーブルで2階まで配線することです。

ホームルーターの多くには有線LANポートが搭載されています。ここからLANケーブルを2階まで引き、2階にWi-Fiアクセスポイント(無線LANルーター)を設置すれば、2階でも安定した電波が得られます。

有線LAN配線のメリット・デメリット

メリット ・通信が安定し、速度低下がない ・電波干渉の影響を受けない ・一度設置すれば長期間使える

デメリット ・ケーブルの配線が必要(見た目の問題) ・壁内配線には工事が必要な場合がある ・ケーブルと追加のアクセスポイントの購入費用がかかる

壁に穴を開けずに配線する方法としては、ドアの隙間を通せるフラットケーブルや、窓枠に沿わせる方法があります。

PLCアダプター(コンセントLAN)を使う

PLCアダプターは、家庭内の電気配線を使ってネットワーク信号を伝送する機器です。

PLCアダプターとは、Power Line Communication(電力線通信)の略。コンセントに挿すだけで、電気配線をLANケーブル代わりに使えます。

1階のコンセントに親機を挿してホームルーターと接続し、2階のコンセントに子機を挿せば、2階でも有線LAN接続が可能になります。子機にWi-Fiアクセスポイントを接続すれば、2階でもWi-Fiが使えます。

PLCアダプターの注意点内容
電気配線の状態古い配線や分電盤の構成によっては通信が不安定になることがある
ノイズの影響電子レンジやドライヤーなどのノイズで速度低下することがある
通信速度理論値より実測値は大幅に低下することが多い
価格2台セットで10,000円〜20,000円程度

PLCアダプターは建物の電気配線状況に大きく左右されます。購入前に返品可能かどうか確認しておくと安心です。


解決策の費用対効果を比較

どの対策を選ぶべきか、費用と効果を比較して検討しましょう。

各対策のコストと効果の一覧

対策費用効果おすすめ度
設置場所の最適化0円軽度の改善まず試すべき
周波数帯の切り替え0円軽度〜中程度の改善まず試すべき
Wi-Fi中継機3,000円〜10,000円中程度の改善コスパ重視ならおすすめ
メッシュWi-Fi15,000円〜40,000円大幅な改善快適さ重視ならおすすめ
有線LAN配線5,000円〜20,000円確実な改善安定性重視ならおすすめ
PLCアダプター10,000円〜20,000円環境による配線が難しい場合の選択肢

建物の構造別おすすめ対策

建物の構造によって、効果的な対策は異なります。

木造住宅の場合

電波は比較的通りやすいため、設置場所の最適化と周波数帯の切り替えで改善する可能性が高いです。それでも届かない場合は、Wi-Fi中継機がコストパフォーマンスに優れています。

鉄筋コンクリート造の場合

床のコンクリートスラブが電波を大きく減衰させるため、中継機だけでは不十分なことがあります。メッシュWi-Fiまたは有線LAN配線を検討してください。

鉄骨造の場合

鉄骨部分で電波が反射・減衰するため、中継機の設置場所の選定が重要です。効果が不十分な場合は、有線LAN配線が確実です。


ホームルーターの限界と光回線への乗り換え判断

対策を講じても改善しない場合、ホームルーター自体の限界かもしれません。

ホームルーターで対応できるケース

以下の条件に当てはまる場合は、ホームルーターでも十分に対応できる可能性があります。

条件理由
木造2階建て電波が通りやすく、中継機で対応可能
延床面積100㎡以下ホームルーターのカバー範囲内
同時接続台数が10台以下ホームルーターの処理能力で対応可能
動画視聴やWeb閲覧が中心通信速度の要求が高くない

光回線への乗り換えを検討すべきケース

以下の条件に当てはまる場合は、光回線への乗り換えを検討する価値があります。

光回線を検討すべきケース

・鉄筋コンクリート造で中継機でも改善しない ・3階建て以上の住宅 ・家族が多く同時接続台数が多い ・オンラインゲームやリモートワークで安定した通信が必要 ・4K動画のストリーミングを頻繁に行う ・月額料金がホームルーターと大差ない地域

光回線は工事が必要ですが、通信速度と安定性ではホームルーターを上回ります。特に、家の複数箇所で同時に高速通信を行う場合は、光回線のほうが快適です。

出典:総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データ」

光回線を検討する際は、まず工事が可能かどうかを確認しましょう。マンションの場合は管理組合への確認が必要です。また、工事費用や月額料金を比較して、トータルコストで判断することをおすすめします。


よくある質問(FAQ)

Q. ホームルーターを2階に置いたほうがいいですか?

A. 2階での利用がメインなら、2階に設置するのも選択肢です。ただし、ホームルーターは外部の基地局からの電波を受信する必要があるため、窓際に設置できる場所を選んでください。1階と2階の両方で使いたい場合は、中間的な位置(1階の高い位置や階段近く)がおすすめです。

Q. 中継機を複数台使っても大丈夫ですか?

A. 技術的には可能ですが、中継を重ねるほど通信速度が低下します。2台以上の中継が必要な場合は、メッシュWi-Fiシステムを検討したほうが快適に使えます。

Q. 5GHz帯と2.4GHz帯、どちらを使うべきですか?

A. 2階で電波が届きにくい場合は、まず2.4GHz帯を試してください。2.4GHz帯は障害物を回り込みやすい特性があります。2.4GHz帯でも届かない場合は、中継機などの追加機器が必要です。

Q. ホームルーターの買い替えで改善しますか?

A. 古い機種を使っている場合は、最新機種への買い替えで改善する可能性があります。ただし、建物の構造による電波減衰は機種を変えても解決しません。まずは設置場所の最適化や中継機の導入を試すことをおすすめします。

Q. 電波が届かないのは契約しているサービスのせいですか?

A. ホームルーターのサービス(ドコモ home 5G、ソフトバンクエアー、WiMAXなど)による違いは、主に外部からの電波受信に影響します。家の中でのWi-Fi電波の届き方は、ホームルーター本体の性能と設置環境に依存するため、サービスを変えても大きくは変わりません。


まとめ

ホームルーターの電波が2階に届かない原因と対処法について解説しました。

・まずは設置場所の最適化と周波数帯の切り替えを試す(0円で改善の可能性あり)
・それでも届かない場合はWi-Fi中継機の導入を検討(3,000円〜10,000円)
・より快適さを求めるならメッシュWi-Fiシステム(15,000円〜40,000円)
・確実に改善したいなら有線LAN配線が効果的
・建物の構造(木造・RC造など)によって最適な対策は異なる
・対策を講じても改善しない場合は光回線への乗り換えも選択肢

まずはお金をかけずにできる対策から試してみてください。設置場所を変えるだけで改善するケースも少なくありません。

それでも改善しない場合は、建物の構造と予算に合わせて、中継機やメッシュWi-Fiの導入を検討しましょう。