ゲームといえばSonyや任天堂など日本の企業がとても強かった分野ですが、近年ではeスポーツの発展が目覚ましく海外製の対人ゲームやバトルロイヤル系ゲームなどで楽しむ人々が増えてきました。そんな中ゲームをする人にとって気になる製品が世間の耳目を集めるようになってきました。ゲーミングモニターです。
ゲーミングモニターとはいったい何なのでしょうか? 一昔前ではテレビのデジタル化もあり、薄型テレビなどが世間の注目を浴びていました。ゲーミングモニターは、そうしたテレビ、また一般的なモニターとはどう違うのでしょうか?
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ゲーミングモニターとは?
ゲーミングモニター以外にも頭に「ゲーミング」とついた製品はいくつかあります。ゲーミングマウスやゲーミングキーボードが特に有名でしょう。こうした製品を利用したPCをゲーミングPCと呼びます。
特にゲーミングPCはグラフィックボードなどを使用し、「ゲームをプレイする」ことに特化させたPCを指します。ゲーミングPCは一般的なPCと異なり、メインメモリが多めに搭載し、ゲームをインストールする空きを確保するためにHDDやSSDをやや多めに選ぶほうがいいとされます。
そうした「ゲーミング」と名の付く製品を見ていくことで、「ゲーミングモニターとは何か?」に対する答えの輪郭がおぼろげながら見えてくるでしょう。
ゲーム用に特化させられたモニター
ゲーミングモニターは、ゲーミングマウスやゲーミングキーボードと同様に、ゲームをプレイするのに特化させられたモニターのことを指します。一般的な映像をモニターに映すのとゲームを映すのとでは効果が異なるため、またゲームハードやPCの性能向上によるゲームの進化に合わせるため、ゲーミングモニターが販売されるに至りました。
対人型ゲームなどでより多くの優位を得やすいように設計されているので、ハードウェアの段階で差をつけたい方にゲーミングモニターなどがおすすめされます。
ゲームをしない方にとっても、ゲーミングモニターは単純に高性能なモニターとして利用できますので、使用するメリットはあるのですが、ゲーム以外のコンテンツではその恩恵を受けにくいため、やはりその名称通りゲームをする人向けという側面が非常に強い製品です。
動きの多いゲームに対応している
ゲーミングモニターは特に動きの多いゲームに対応しており、動きの少ないゲームに比べてよりメリットを感じやすくなっています。そのためFPSやTPS、またバトルロイヤル系のゲームを楽しみたい方には強くおすすめできます。勝敗にこだわる方にもうってつけです。
近年のゲームはやや二極化が強くなってきており、バトルロイヤル系や対人ゲームなどでは3Dが多く、さらにキレイなグラフィックを目指す傾向が強くなっています。それに対して、2Dのゲームでは「Undertale」や「Stardew Valley」のようにレトロなゲームでも名作が登場しています。
ゲーミングモニターは通常より「スムーズ」で「切り替わりの早い」のが特徴なモニターですので、2Dのレトロなゲームよりも、3Dで頻繁に映像が切り替わるゲームのほうがゲーミングモニターの特徴をうまく引き立たせることができます。
マルチモニターも一般的
またゲームを楽しむ際には、マルチモニターに対応させて遊ぶのも最近では一般的になってきています。
地味ながら味のある
マルチモニター♪これもいいね☆ pic.twitter.com/yWtiuJ784T
— PC&GAMEライフスタイル (@ArmzLife) 2019年3月25日
マルチモニターとは、複数のモニターを1つのPCに使用して、画面を分割表示させる機能です。近年ではボイスチャットを使用したり、対戦前にインターネット上で敵の情報を探ったりするなど、いろいろな楽しみ方が実現できています。
またニコニコ動画やYouTube、Twitchなどの配信サービスが充実していることもあり、ゲームをプレイしながらその様を生配信する行為もまったくおかしなことではなくなりました。その際、配信ツールやコメントを表示するツールを表示させるため、ゲームを全画面表示するメインモニターとは別に、サブモニターを利用する例もあります。
ゲーミングモニターの性能
ゲーミングモニターはゲーム用に特化した製品でありながら、モニターとして一般製品と類似した点、また明確に違う点が存在します。
一般的なモニターとの類似点
ゲーミングモニターは一般的なモニターとの類似点があるため、一般的なモニターの代理として使用することもできます。一般的なモニターと比較すると単純に性能が高くなっていることもあるので、ゲームをする人が通常のモニターを兼ねて使用することもできます。
解像度
まず一般使用されるモニターとゲーミングモニターでは、「解像度が高いほうが好まれる」というのが一致しています。ゲームを楽しむときは大きな画面で楽しみたいのはもちろんのことですが、ゲームをしない方でも映画や動画を大画面で楽しみたいという目的から、高い解像度のモニターが好まれる傾向にあります。
特に近年では4Kという言葉が世間にも知られるようになりました。このKはkgやkmのキロの略で、1000を意味します。そのため4Kは単純に4000を意味します。これは大きな解像度を示します。
モニターに限らずスマートフォンなどデジタルな映像を表示する装置には、「ピクセル」と呼ばれる正方形ないし長方形の升目が隙間なく詰め込まれています。このピクセルが様々な色を表示することで、その画面全体を見る人間の目にはいろいろな映像を見ることができるのです。
このピクセルの数が多いほど、画面は大きくキレイになります。動画などもこの解像度に依存し、解像度が低い動画は「荒い」といわれ見にくいものになり、解像度が高いものほどキレイだと判断されるようになります。そのためモニターの解像度も大きいほど、表示される映像も大きくキレイだと判断されるようになります。
接続規格
また解像度だけでなく、接続規格においても大きな相違点はありません。どのモニターでもゲームをする際には、PCやゲームハードと接続しなければならず、その際に「規格」が合わなければモニターが使用できなくなるのは変わらないからです。
現在では広く普及している規格として、「HDMI」が挙げられます。HDMIは、Nintendo SwitchやPlayStation 4でもサポートしている規格で、これに対応しているモニターであればケーブル1本で接続することができます。
かつてはDVIなどの規格が普及していましたが、音声を含めたデジタルデータをケーブル1本で送信できるHDMIの利便性が高く、次第に置き換わるに至りました。
また他にもDisplayPortやUSB-C(USB Type-C)と呼ばれる規格も、HDMIほどでないながら広まっています。
一般的なモニターとの違い
ゲーミングモニターはそもそもゲーム用に、それ以外のものと差別化を図った製品です。そのため明確な違いがあります。
リフレッシュレート
まずゲーミングモニターで特化させられている要素として挙げられるのは、「リフレッシュレート」です。
アニメーションはパラパラ漫画のように1秒間に何枚もの画像を表示させることで動かしていることは周知されていますが、動画やゲームも原理はこれとまったく同じです。そのため「1秒間に表示される画像の枚数」が多いほうが滑らかに見えるようになります。これは一般的に「フレームレート」といわれます。
いわばこのフレームレートのモニター版が「リフレッシュレート」です。モニターにおいて画面を描き直すことを「リフレッシュ」といい、このリフレッシュが行われる頻度のことをリフレッシュレートと呼ぶのです。
フレームレートがPCやゲームハード内で処理される枚数のことを指し、リフレッシュレートはその処理された画像を何枚表示できるかという指標がリフレッシュレートです。
そのためいくら機械が有能で1秒間に200枚の映像を処理できるとしても、モニターが60枚にまでしか対応していなければ、表示されるのは1秒間に60枚が上限になってしまいます。
逆にいくらモニターが1秒間に100枚以上の映像を表示できるとしても、機械が貧弱で30枚しか処理できなければ、表示されるのは1秒間に30枚が限度となってしまいます。
単位はHz(ヘルツ)で、一般的なモニターでは60Hzをサポートしているものが多く、ゲーミングモニターでは144Hzなどをサポートしているものが高質なモニターとされます。
応答速度
応答速度とは、「モニターがある色から別の色に変化するまでの時間」を示します。一般的には黒から白、白から黒というふうに変化するときの時間が短くなるのですが、そうした極端な例はあまり多くないため、中間的な色での変化を示す指標としてGray to Gray(グレイトゥグレイ、GtoGやGTGとも表記される)が考案されました。
動きの多いゲームでは視点の切り替えや場面の転換などが頻繁に行われるため、応答速度が遅いと残像が残ったりブレて表示されたりします。対人型ゲームでは、1分1秒ではなく「1秒以下」の反応が勝敗に関わってくることが少なくありません。そのため応答速度が重視されるのです。
単位はms(ミリ秒)で、応答速度が早いものだと1ms(1/1000秒)の製品などがあり、さらに1ms未満の製品も存在します。
おすすめのゲーミングモニター
ゲーミングモニターの特性を理解できたところで、実際の製品について見ていきましょう。
328P6VUBREB/11
最初におすすめとして挙げるのは、フィリップスの「328P6VUBREB/11」です。328P6VUBREB/11の特徴は、解像度が4K、リフレッシュレートが144Hz以上という点です。31.5 インチのモニターですので、「大画面でゲームをスムーズに動かす」という楽しみ方にピッタリです。
Philips、31.5型4K HDR液晶ディスプレイ「328P6VUBREB/11」を発売へ。USB 3.1 type-C ドッキングステーションを内蔵 https://t.co/ymuzHQP3wa
置くとこないけど、これ良いね。— 犬塚164 (@inuzuka_) 2018年8月17日
KG241QAbiip
続いておすすめするのは、Acerの「KG241QAbiip」です。KG241QAbiipの特徴は、リフレッシュレートが144Hz、応答速度が0.6msという点です。サイズは23.6インチで解像度がフルHDの1920×1080ですので、大きな画面より「とにかくスムーズな画面でゲームをプレイしたい」という方のためのようなモニターです。
144Hzという高いリフレッシュレートに加え、応答速度0.6msという高速性を実現した魅力的な製品だ。
【新モデル10%OFF】高コスパが魅力ゲーミングディスプレー「KG241QAbiip」で快適プレー環境 https://t.co/f0uTm2KrlK pic.twitter.com/evomBMvHbl
— ASCII.jp編集部 (@asciijpeditors) 2018年12月14日
GigaCrysta EX-LDGC251UTB
最後におすすめするのは、IODATAの「GigaCrysta」シリーズである「EX-LDGC251UTB」です。EX-LDGC251UTBの特徴は、リフレッシュレートが144Hz以上で最大239.9Hz対応、応答速度は基本が5msながら設定で0.6msが可能という点です。リフレッシュレートの高さが非常に特徴的ですので、「高フレームレートでないとゲームなんてやってられない!」という方にもおすすめできるモニターです。
応答速度0.6ms 240Hz
I-O DATA の最強モニター EX-LDGC251UTB 設置完了。
ストリーミング用のサブディスプレイも設置して、とりあえず完成。
2PC配信環境 (゚∀゚) pic.twitter.com/MgPOL1UxJZ— cyberludens (@cyberludens) 2018年9月23日
さいごに
ゲーミングモニターを使用するのは、ゲーム内でより精密な判断をするのにとても役立ちます。特に人間は視覚に強く依存するといわれ、高質なモニターに一度慣れ切ってしまうと元の環境には戻れないといいます。
特にマルチモニター化してゲームを楽しむ場合は、メインモニターに高質なモニターを使用して、サブモニターには一般のモニターを使用することもできます。
このようにプレイヤー自身が自分の好みの環境を構築できるのも、ゲーミングモニターの利点でもあるのです。