「AirPods Proのノイズキャンセリングが、以前より弱くなった気がする…」
通勤電車の中や、カフェで作業中にそう感じたことはありませんか。購入当初は周囲の騒音がスッと消えていたのに、最近はなんだか外の音が聞こえやすくなった。そんな違和感を覚えている方は少なくありません。
実は、AirPods Proのノイズキャンセリング性能が低下したと感じる原因の多くは、自分で簡単に対処できるものです。イヤーチップの汚れや装着のズレ、ファームウェアの問題など、ちょっとした確認と操作で元の性能を取り戻せるケースが約7割を占めるとされています。
この記事では、AirPods Proのノイキャンが弱くなる7つの原因と、今すぐ試せる10の対処法を、原因別・ステップ別に詳しく解説します。さらに、それでも直らない場合のAppleサポートへの相談方法や無償交換プログラムの情報もお伝えします。
記事を最後まで読めば、あなたのAirPods Proのノイキャンが弱くなった原因を特定し、最適な解決策を見つけることができます。
AirPods Proのノイキャンが弱くなる7つの原因
AirPods Proのノイズキャンセリング性能が低下したと感じる場合、その原因は大きく分けて7つ考えられます。まずは原因を正しく理解することで、適切な対処法を選べるようになります。
イヤーチップの汚れ・劣化
最も多い原因がイヤーチップの汚れや劣化です。AirPods Proはイヤーチップで耳を密閉することで外部ノイズを遮断しています。耳垢や皮脂がイヤーチップに付着すると、密閉性が低下してノイキャン効果が弱まります。
シリコン製のイヤーチップは使用を続けるうちに弾力性が失われ、耳へのフィット感が低下します。購入から1年以上経過している場合は、イヤーチップの劣化を疑ってください。
イヤーチップのサイズが合っていない
AirPods Proには S・M・L の3サイズのイヤーチップが付属していますが、適切なサイズを選んでいない方が意外と多いです。また、体調や季節によって耳の状態は変化するため、以前はフィットしていたサイズが合わなくなることもあります。
左右の耳で最適なサイズが異なる場合もあるため、片方ずつ確認することをおすすめします。
メッシュ部分の目詰まり
AirPods Pro本体のスピーカー部分やマイク部分には細かいメッシュがあります。ここに耳垢やほこりが詰まると、音の入出力が正常に行われず、ノイズキャンセリングの精度が落ちます。
特に外部マイク(イヤホン外側)のメッシュが汚れていると、外部の音を正確に拾えなくなり、ノイキャン処理が適切に機能しません。
ファームウェアの不具合
AirPods Proはファームウェア(内蔵ソフトウェア)のアップデートが定期的に行われています。まれに、特定のファームウェアバージョンでノイズキャンセリングに不具合が発生することがあります。
過去にはファームウェアアップデート後にノイキャン性能が低下したという報告がAppleのコミュニティフォーラムに多数寄せられたこともありました。
接続・設定の問題
iPhoneとAirPods Pro間のBluetooth接続が不安定な場合、ノイズキャンセリング機能に影響することがあります。また、知らないうちにノイズキャンセリングがオフになっていたり、「外部音取り込みモード」に切り替わっていたりすることもあります。
iPhoneのアクセシビリティ設定で「ノイズキャンセリングの強さ」が変更されている場合も、効きが弱いと感じる原因になります。
外部マイクの汚れ・損傷
AirPods Proは外部の騒音を外側のマイクで拾い、その逆位相の音を生成することでノイズをキャンセルしています。この外部マイクが汚れていたり、物理的なダメージを受けていたりすると、ノイキャン性能が大幅に低下します。
マイク部分は非常に小さいため、目視では確認しにくいですが、定期的な清掃が効果的です。
ハードウェアの経年劣化・故障
上記の対処法をすべて試しても改善しない場合は、AirPods Pro本体のハードウェアが故障している可能性があります。特に第1世代のAirPods Proでは、一部の製品でノイズキャンセリングに関する品質問題が報告されており、Appleは無償サービスプログラムを提供しています。
出典:Apple「AirPods Pro サービスプログラム(音の問題に関するもの)」
ノイキャンが弱くなった時に試すべき10の対処法
原因を把握したところで、具体的な対処法を順番に試していきましょう。簡単なものから順に解説しますので、上から順番に試すことをおすすめします。
対処法1:イヤーチップ装着状態テストを実行する
まず最初に、現在のイヤーチップが適切にフィットしているかを確認しましょう。iPhoneには公式の診断機能が搭載されています。
- AirPods Proを両耳に装着する
- iPhoneで「設定」→「Bluetooth」を開く
- AirPods Proの横にある「i」マークをタップ
- 「イヤーチップ装着状態テスト」をタップ
- 「続ける」→「再生ボタン」をタップしてテスト開始
- 結果が「密閉されています」となればOK
「調整が必要です」と表示された場合は、イヤーチップのサイズ変更や装着位置の調整が必要です。
対処法2:イヤーチップを清掃する
イヤーチップを本体から外し、ぬるま湯で優しく洗いましょう。洗剤は使用せず、水だけで洗い流します。洗った後は完全に乾燥させてから再装着してください。
糸くずの出ない柔らかい布で拭くのも効果的です。アルコールを含むウェットティッシュはシリコンを劣化させる可能性があるため避けてください。
対処法3:イヤーチップを交換する
清掃しても改善しない場合や、イヤーチップが明らかに劣化している場合は交換を検討してください。純正のイヤーチップはApple公式サイトまたは家電量販店で購入可能です(2ペアセットで税込980円、2025年11月現在)。
サードパーティ製のイヤーチップも多数販売されていますが、純正品と形状が異なる場合はイヤーチップ装着状態テストが正しく機能しない可能性がある点に注意してください。
対処法4:メッシュ部分を掃除する
AirPods Pro本体のメッシュ部分を掃除します。Appleは乾いた綿棒や、毛先の柔らかいブラシでの清掃を推奨しています。
- スピーカーメッシュ(内側・耳に当たる部分)
- マイクメッシュ(外側・外部音取り込み用)
- センサー部分(内側・検知用)
水や液体は使用せず、乾いた状態で優しく汚れを取り除いてください。爪楊枝などの硬いものはメッシュを傷つける可能性があるため使用しないでください。
出典:Apple「AirPodsとAirPods Proのお手入れ方法」
対処法5:AirPods Proを再起動する
一時的なソフトウェアの不具合は、再起動で解消することがあります。AirPods Proを充電ケースに入れ、フタを閉じて30秒以上待ってから取り出すと再起動されます。
対処法6:Bluetooth接続をリセットする
iPhoneとの接続を一度解除し、再接続することで改善する場合があります。
- iPhoneの「設定」→「Bluetooth」を開く
- AirPods Proの横にある「i」マークをタップ
- 「このデバイスの登録を解除」をタップ
- AirPods Proをケースに入れ、フタを開けた状態でiPhoneに近づける
- 画面の指示に従って再ペアリングする
対処法7:ファームウェアを最新に更新する
AirPods Proのファームウェアは自動更新されますが、手動で確認することもできます。現在のファームウェアバージョンは「設定」→「Bluetooth」→ AirPods Proの「i」マーク →「バージョン」で確認できます。
最新バージョンに更新するには、AirPods ProをiPhoneの近くに置いた状態で充電ケースに入れ、iPhoneをWi-Fiに接続しておくと自動的にアップデートされます。
対処法8:ノイズキャンセリング設定を確認する
意外と見落としがちなのが設定の確認です。AirPods Proを装着した状態で、コントロールセンターからノイズコントロールアイコンを長押しし、「ノイズキャンセリング」が選択されているか確認してください。
「外部音取り込みモード」や「オフ」になっていると、当然ながらノイキャンは機能しません。
対処法9:iPhoneのアクセシビリティ設定を見直す
iPhoneの「設定」→「アクセシビリティ」→「AirPods」で、ノイズキャンセリングに関する設定を確認できます。「ノイズキャンセリングの強さ」がデフォルト以外に変更されている場合は、元に戻してみてください。
対処法10:AirPods Proを初期化(リセット)する
上記の方法で改善しない場合は、AirPods Proを完全に初期化します。
- iPhoneの「設定」→「Bluetooth」でAirPods Proの登録を解除
- AirPods Proを充電ケースに入れ、フタを開ける
- ケース背面のボタンを15秒以上長押し
- ステータスランプがオレンジ色に点滅後、白く点滅したら完了
- iPhoneに近づけて再ペアリングする
初期化すると、AirPods Proに保存されている設定はすべてリセットされます。
対処法を試しても直らない場合の選択肢
10の対処法をすべて試してもノイズキャンセリング性能が改善しない場合は、ハードウェアの問題が疑われます。以下の選択肢を検討してください。
Appleの無償サービスプログラムを確認する
AirPods Pro(第1世代)には、ノイズキャンセリングに関する品質問題のため、無償サービスプログラムが提供されています。
対象症状:
- アクティブノイズキャンセリング機能の問題で、雑音が大きくなる(バチバチ音など)
- ノイズキャンセリングや外部音取り込みモードで低音が失われる
対象期間は購入後3年間です。お使いのAirPods Proが2020年10月以前に製造されたもので、上記の症状がある場合は無償交換の対象となる可能性があります。
出典:Apple「AirPods Pro サービスプログラム」
AppleCare+の保証状況を確認する
AppleCare+ for Headphonesに加入している場合、過失による損傷を含むサービスを受けられます。保証状況はApple公式サイトでシリアル番号を入力して確認できます。
Apple正規サービスプロバイダに相談する
最終的には、Apple Storeまたは正規サービスプロバイダでの診断を受けることをおすすめします。オンラインまたは電話でAppleサポートに問い合わせると、症状に応じた適切な案内を受けられます。
修理費用の目安(AppleCare+未加入の場合):
- 片耳のみの交換:税込11,800円程度
- 充電ケースの交換:税込12,800円程度 (2025年11月現在の参考価格。実際の費用は症状により異なります)
片耳のみの購入を検討する
片方だけに問題がある場合、Apple公式サイトで片耳のみ購入することが可能です。新品を1台丸ごと買い替えるよりもコストを抑えられます。
AirPods Pro 第1世代と第2世代のノイキャン性能の違い
AirPods Proは2019年に第1世代、2022年に第2世代が発売されています。第2世代では、Appleの公式発表によるとノイズキャンセリング性能が第1世代と比較して最大2倍に強化されています。
第1世代を使用している場合、「弱くなった」と感じるのが故障ではなく、周囲で第2世代を使っている人の話を聞いて相対的に弱く感じている可能性もあります。
また、第1世代は品質問題による無償交換プログラムの対象ですが、第2世代は2025年11月現在、同様のプログラムは発表されていません。お使いのモデルを確認したい場合は、「設定」→「Bluetooth」→ AirPods Proの「i」マーク →「モデル番号」で確認できます(A2084/A2083が第1世代、A2698/A2699/A2700が第2世代)。
ノイキャン性能を長持ちさせるための日常メンテナンス
AirPods Proのノイズキャンセリング性能を長く維持するために、以下の習慣を心がけましょう。
- 使用後は乾いた布で本体を拭く
- 週に1回はイヤーチップを外して清掃する
- 月に1回はメッシュ部分を綿棒で掃除する
- 使用しないときは必ず充電ケースに入れて保管する
- 高温多湿の場所での長時間放置を避ける
特にイヤーチップの定期的な清掃は、ノイキャン性能の維持に大きく貢献します。
よくある質問(FAQ)
まとめ
AirPods Proのノイズキャンセリングが弱くなったと感じた場合、その多くは以下の方法で改善できます。
- イヤーチップ装着状態テストを実行する
- イヤーチップを清掃・交換する
- メッシュ部分を掃除する
- AirPods Proを再起動する
- Bluetooth接続をリセットする
- ファームウェアを最新版に更新する
- 設定を確認する(ノイキャンがオンか、アクセシビリティ設定など)
- AirPods Proを初期化する
これらの対処法を試しても改善しない場合は、ハードウェアの問題が考えられます。AirPods Pro(第1世代)をお使いの場合は、Appleの無償サービスプログラムの対象かどうかを確認してください。
ノイズキャンセリング機能はAirPods Proの魅力の核心部分です。日常的なメンテナンスを習慣化することで、快適なノイキャン環境を長く維持できます。それでも解決しない場合は、Apple Storeまたは正規サービスプロバイダに相談し、専門家による診断を受けることをおすすめします。
[aside type=”warning”]バッテリーの膨張や異常な発熱、異臭などの症状がある場合は、すぐに使用を中止し、Appleサポートまたは正規サービスプロバイダに連絡してください。[/aside]





















