「アパートでネット回線の工事ができないと言われた…」

そんな状況に直面すると、テレワークや動画視聴、オンラインゲームなど、日常生活に欠かせないネット環境がどうなるのか不安になりますよね。

しかし、安心してください。回線工事ができなくても、快適にインターネットを使う方法は複数あります。

この記事では、まずアパートで工事ができない理由を整理し、本当に工事が不可能なのかを確認する方法をお伝えします。そのうえで、工事不要で使えるネット回線の選択肢を徹底比較し、あなたの用途に合った最適解を見つけるお手伝いをします。

最後まで読めば、「工事できない」という壁を乗り越え、今の住まいでも満足できるネット環境を手に入れられるはずです。


アパートでネット回線の工事ができない5つの理由

まず、なぜアパートでは回線工事ができないと言われるのか。その理由を正確に理解することが、解決策を見つける第一歩です。

理由①|大家・管理会社が許可しない

最も多いケースがこれです。光回線の導入には、建物の外壁に穴を開けたり、共用部分にケーブルを通したりする必要があります。

建物の所有者である大家さんや、管理を任されている管理会社が「建物に傷をつけたくない」「他の入居者との公平性」などの理由で許可を出さないことがあります。

特に築年数が浅い物件や、大家さんが近くに住んでいる物件では、許可が下りにくい傾向があります。

理由②|建物の構造上、配線が引けない

建物の構造によっては、物理的に光ファイバーケーブルを引き込むことが難しいケースがあります。

たとえば、電柱から建物までの距離が遠い、配管(光ケーブルを通す管)がない、配管があっても詰まっているといった状況です。

特に築30年以上の古いアパートでは、インターネット回線の配管が設計段階で考慮されていないことが珍しくありません。

理由③|すでにマンションタイプの回線が導入済み

建物に別の光回線がすでに導入されているため、新たな回線を引くことができないというケースもあります。

たとえば、建物全体でNTTフレッツ光のマンションタイプが導入されている場合、他の回線事業者(NURO光やauひかりなど)を新規で引くには別途工事が必要となり、断られることがあります。

この場合は、すでに導入済みの回線を利用することで解決できる可能性があります。

理由④|賃貸契約書で禁止されている

賃貸契約書の中に「設備の増設・変更は禁止」「建物への工事は不可」といった条項が含まれていることがあります。

契約違反になると、退去時にトラブルになったり、違約金が発生したりするリスクがあるため、契約書の内容を確認することが重要です。

出典:国土交通省「賃貸住宅標準契約書」では、設備の増設や変更について貸主の承諾を得ることが標準的なルールとして示されています。

理由⑤|退去時の原状回復義務が厳しい

回線工事で開けた穴を退去時に塞ぐ必要があり、その費用が高額になる可能性を懸念されるケースです。

原状回復の範囲や費用負担については、入居時の契約内容や物件の状態によって異なります。工事前に「原状回復が必要か」「費用はどの程度か」を確認しておくことが大切です。


本当に工事できないのか?確認すべき3つのポイント

「工事できない」と言われても、実は交渉次第で可能になるケースや、別の方法で解決できることがあります。諦める前に、以下の3点を確認してみてください。

確認①|管理会社への正しい交渉方法

最初に「回線工事をしたい」と伝えて断られた場合でも、伝え方を変えることで許可が下りることがあります。

交渉のポイントは3つあります。まず「穴を開けない方法もある」と伝えること。次に「退去時は原状回復する」と約束すること。そして回線事業者の工事担当者から直接説明してもらうことです。

管理会社や大家さんは、工事の具体的な内容を知らないために断っていることが少なくありません。エアコンのダクトや既存の配管を利用すれば穴を開けずに済む場合もあるため、回線事業者に現地調査を依頼し、その結果をもとに再交渉する方法が効果的です。

確認②|すでに導入済みの回線を調べる

建物にすでに光回線が導入されているかどうかを確認しましょう。

確認方法としては、管理会社に「この建物で使える光回線はありますか?」と聞く方法が最も確実です。また、NTT東日本・西日本のホームページで住所を入力すると、フレッツ光の提供状況を確認できます。

出典:NTT東日本「フレッツ光 提供エリア検索」

すでにマンションタイプが導入済みであれば、工事は共用部分まで完了しているため、部屋への引き込み工事だけで済み、許可が得やすくなります。

確認③|穴を開けない工事方法の提案

光回線の工事には、穴を開けずに導入する方法もあります。

具体的には、エアコンのダクト穴を利用する方法、窓の隙間から薄型ケーブルを通す方法、既存の電話線の配管を利用する方法などがあります。

これらの方法であれば建物を傷つけないため、許可が下りやすくなります。回線事業者に「穴を開けない方法で工事できますか?」と相談してみてください。

ただし、これらの方法が使えるかどうかは建物の状況によります。現地調査をしてもらうまで確定しないため、過度な期待は禁物です。


工事不要でアパートでも使えるネット回線4つの選択肢

交渉しても工事ができない場合や、そもそも工事を避けたい場合は、工事不要のネット回線を検討しましょう。主な選択肢は4つあります。

選択肢①|ホームルーター(据え置き型Wi-Fi)

工事不要でコンセントに挿すだけで使えるWi-Fiルーターです。代表的なサービスにはドコモのhome 5G、ソフトバンクエアー、WiMAXのホームルーターなどがあります。

モバイル回線(4G/5G)を利用するため、光回線のような固定工事は一切不要。端末が届いたその日からインターネットが使えます。

通信速度は光回線には及ばないものの、下り最大で数百Mbps〜4Gbps超(理論値)を謳う製品もあり、一般的な用途であれば十分な速度が出ることが多いです。

選択肢②|モバイルWi-Fi(ポケット型Wi-Fi)

持ち運びができる小型のWi-Fiルーターです。WiMAXやクラウドSIMタイプのサービスが代表的です。

自宅だけでなく外出先でも使えるため、カフェでの作業や出張が多い人に向いています。ただし、バッテリー駆動のため充電が必要で、ホームルーターに比べると通信速度や安定性はやや劣る傾向があります。

選択肢③|スマホのテザリング

お使いのスマートフォンをWi-Fiルーター代わりにする方法です。追加契約なしで使えるため、もっとも手軽な選択肢といえます。

ただし、スマホのデータ通信量を消費するため、大容量プランに加入していないと速度制限がかかる可能性があります。また、テザリング中はスマホのバッテリー消費が激しくなります。

メインのネット回線としては心もとないですが、一時的な利用や緊急時のバックアップとしては有効です。

選択肢④|ケーブルテレビのネット回線

ケーブルテレビ(CATV)のネット回線は、テレビの同軸ケーブルを利用するため、光回線のような大がかりな工事が不要な場合があります。

ただし、すでにケーブルテレビが導入されている建物に限られること、光回線に比べると上り速度(アップロード速度)が遅いことがデメリットです。

4つの選択肢の中で、自宅メインで使うならホームルーター、外出先でも使いたいならモバイルWi-Fiがおすすめです。テザリングは緊急用、ケーブルテレビは導入済み物件限定と考えると選びやすくなります。


ホームルーター vs モバイルWi-Fi|徹底比較表

工事不要回線の主力であるホームルーターとモバイルWi-Fi。どちらを選ぶべきか、重要な項目で比較します。

速度・安定性の違い

比較項目ホームルーターモバイルWi-Fi
下り最大速度(理論値)4.2Gbps程度3.9Gbps程度
実測速度の目安50〜200Mbps程度30〜100Mbps程度
同時接続台数30〜60台程度10〜16台程度
安定性高い(据え置きのため)やや不安定(場所による)

速度の理論値は製品やサービスによって異なりますが、一般的にホームルーターの方が高性能なアンテナを搭載しているため、実測速度も安定しやすい傾向があります。

料金・コスパの違い

月額料金は両者とも4,000〜5,500円程度が相場です。大きな差はありませんが、キャンペーンやスマホとのセット割引によって実質料金が変わります。

ホームルーターはドコモ・au・ソフトバンクの各キャリアが提供しているため、同じキャリアのスマホを使っていればセット割引が適用されることが多いです。

契約期間・解約金の違い

以前は2〜3年の契約期間縛りがあるサービスが主流でしたが、最近は契約期間の縛りがないプランも増えています。

出典:総務省「電気通信事業法の一部を改正する法律」により、2022年7月以降は解約金の上限が月額料金1ヶ月分相当に制限されています。以前ほど解約時のハードルは高くありません。


用途別|工事不要回線の選び方

「とりあえず工事不要なら何でもいい」と選ぶと後悔することがあります。あなたの主な用途に合わせて最適な選択肢を見極めましょう。

テレワーク・Web会議が多い人

テレワークでビデオ会議を頻繁に行う場合は、上り速度(アップロード速度)と安定性が重要です。

Web会議ツールのZoomは、グループビデオ通話で上り・下りともに3Mbps程度を推奨しています。ホームルーターであれば多くの場合この条件を満たせます。ただし、電波状況が悪いと途切れることがあるため、端末の設置場所を窓際にするなどの工夫が必要です。

モバイルWi-Fiでもテレワークは可能ですが、長時間のビデオ会議ではバッテリー持ちが心配。自宅メインならホームルーターの方が安心です。

動画視聴がメインの人

NetflixやAmazon Prime Videoなどの動画配信サービスを楽しむ場合は、下り速度が重要です。

4K動画の視聴には25Mbps程度が推奨されていますが、ホームルーターの実測速度であれば問題なく視聴できることがほとんどです。

ただし、複数人で同時に動画を見たり、大容量のファイルをダウンロードしたりする場合は、速度が分散されるため注意が必要です。

オンラインゲームをする人

オンラインゲームでは速度だけでなく「Ping値(応答速度)」が重要になります。Ping値が高いと、操作してから反映されるまでにタイムラグが生じます。

正直なところ、FPSや格闘ゲームなど反応速度が求められるゲームでは、工事不要回線では厳しい場面があります。Ping値は光回線で10〜20ms程度ですが、ホームルーターでは30〜80ms程度になることが多いです。カジュアルなゲームなら問題ありませんが、ガチ勢には光回線を強くおすすめします。

どうしても光回線が引けない場合は、5G対応エリアであれば5G対応ホームルーターを選ぶことで、ある程度Ping値を抑えられる可能性があります。

普段使い・SNS程度の人

WebサイトやSNSの閲覧、メールのやり取り程度であれば、ホームルーターでもモバイルWi-Fiでも十分です。

データ容量もそこまで使わないため、料金の安いプランやスマホのテザリングでも対応できる可能性があります。自分の毎月のデータ使用量を確認して、必要十分なプランを選びましょう。


工事不要回線を選ぶ前に知っておくべき注意点

工事不要回線には光回線にはないデメリットもあります。契約後に後悔しないために、事前に把握しておきましょう。

通信制限・速度制限の落とし穴

「無制限」と謳っているサービスでも、短期間で大量のデータを使うと速度制限がかかる場合があります。

たとえば「3日間で○○GB以上使うと制限」といった条件が設定されていることがあります。契約前に公式サイトの利用規約をよく確認してください。

最近は速度制限の条件が緩和されているサービスも増えていますが、完全に制限がないわけではありません。

電波状況による速度差

ホームルーターやモバイルWi-Fiはモバイル回線を使用するため、電波の入り具合によって速度が大きく変わります。

建物の構造(鉄筋コンクリートは電波が入りにくい)、周囲の建物の状況、基地局からの距離などによって、同じサービスでも実際の速度には差が出ます。

多くのサービスでは8日間のクーリングオフ制度(初期契約解除制度)があるため、実際に使ってみて電波状況が悪ければ解約できます。契約時に確認しておきましょう。

引っ越し時の対応

ホームルーターの多くは「登録住所でのみ使用可能」という制限があります。引っ越しの際は住所変更の手続きが必要です。

一方、モバイルWi-Fiは持ち運びを前提としているため、引っ越し時の手続きは基本的に不要。頻繁に引っ越す可能性がある人はモバイルWi-Fiの方が便利です。

工事不要回線は「すぐ使える」「契約が簡単」というメリットがある反面、光回線に比べると速度や安定性では劣ります。自分の用途と優先順位を明確にしたうえで選ぶことが大切です。


よくある質問(FAQ)

光回線並みの速度は出る?

理論値では光回線に近い数値を謳うサービスもありますが、実測値では光回線には及びません。光回線の実測が300〜500Mbps程度出る環境でも、ホームルーターでは50〜200Mbps程度が一般的な目安です。ただし、一般的なWeb閲覧や動画視聴には十分な速度です。

工事不要でも固定IPは取れる?

標準では固定IPが付かないサービスがほとんどです。固定IPが必要な場合は、オプションで固定IPを提供しているプロバイダーを選ぶか、VPNサービスを併用する方法があります。在宅勤務でVPN接続が必要な場合は、事前に会社のIT部門に確認することをおすすめします。

法人契約は可能?

ホームルーターやモバイルWi-Fiの多くは法人契約にも対応しています。ただし、個人契約とは料金プランや契約条件が異なる場合があるため、法人窓口に問い合わせて確認してください。

短期間だけ使いたい場合は?

契約期間の縛りがないプランを選ぶか、レンタルWi-Fiサービスを利用する方法があります。1ヶ月単位でレンタルできるサービスなら、必要な期間だけ使って返却できるため、短期利用に向いています。


まとめ|アパートで工事できなくても快適なネット環境は作れる

アパートでネット回線の工事ができないと言われても、諦める必要はありません。

この記事のポイントをまとめます。まず、本当に工事不可か再確認しましょう。管理会社への交渉や穴を開けない工事方法で解決できる可能性があります。工事が無理な場合は、ホームルーター、モバイルWi-Fi、テザリング、ケーブルテレビの4つの選択肢があります。自宅メインならホームルーター、外出先でも使うならモバイルWi-Fiがおすすめです。用途によって必要な速度が異なるため、自分の使い方に合わせて選ぶことが大切です。

工事不要回線は光回線ほどの速度や安定性はありませんが、技術の進歩により年々性能が向上しています。特に5Gエリアの拡大に伴い、工事不要でも十分快適にインターネットを使える環境が整いつつあります。

今の住まいで快適なネット環境を手に入れるために、この記事で紹介した選択肢の中から、あなたに合ったものを見つけてください。