格安スマホ・MVNOの会社が近年増加し、料金が高い3大キャリアでなくとも手軽にスマホを使える環境が整ってきました。
その1つである「TONE(トーン)モバイル」は、CD・DVDのレンタルでおなじみのTSUTAYAが提供する格安スマホ。
主なターゲットを小・中学生といった子どもに定めています。
ですが「1ヶ月の料金が1000円の上、制限なしで使い放題」といううたい文句から、ヘビーユーザーからも注目されました。
そして実際に契約したヘビーユーザーからは、「使えるとは言いがたい」といった否定的な意見も聞こえているようです。
それでは、トーンモバイルがどういった層を狙ったものなのか、ユーザーの声を参考にしながら説明していきます。
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対象は子どもや高齢者?制限はないものの通信は中速
TSUTAYAでの実店舗販売や、TVCMを始めとした広告宣伝によって、トーンモバイルは徐々に広く知られるようになってきたと思います。
広告をきっかけに格安スマホを使ってみようと考え始めた人もいるのではないでしょうか。
「1ヶ月の通信料が驚きの1000円」「中速ながら制限はない」といった宣伝を目にして、ヘビーユーザーさえも飛びついたと聞きます。
ですが実際に使ってみると予想よりも通信が遅く、使いづらいと感じる人がたくさんいました。
以下、このキャリアが持つ特色を簡潔にまとめてみました。
■「TONEファミリー」という制限機能(スマホの利用制限、Webページのフィルタリングなど)があり、子どもでも安心して使える
■通信は遅めだが、docomoの回線を1ヶ月1000円で利用可能
■端末・料金プラン共に1つのみなため、できることが非常に明瞭
■メインターゲットが初心者やライト層であるため、サポートが充実している
これらの特色から分かるように、トーンモバイルは小さな子どもや高齢者といった、スマホに馴染みがない人やあまり使わない人に向いたキャリアと言えるのです。
スマホに不慣れな人を主なユーザーとして想定しているので、サポートが手厚いのが嬉しいところ。
端末の初期設定や前の携帯からのデータ移行といった、慣れていない人にはちょっと難しい作業を無料で手伝ってくれるのです。
通信が中速であるため、初心者・ライト層に適している
元々トーンモバイルには、「3日間に合計300MB」という制限が存在していました。
ですが2017年の3月からは無制限での利用が可能になりました。
ただし通信は「中速」。
公式サイトを参照すると、速度は回線状況によって変動するものの「500~600kbps程度」とのこと。
これは「Webページの表示が少々遅いが閲覧は可能」なくらいの速さ。
動画を観るとなると少なくとも1Mbps以上の速度が求められます。
ですので、YouTubeを始めとした動画サービスを快適に使うことは難しいと言わざるを得ません。
また、先述したように通信速度は回線の状況に左右されるもの。
実際に計測してみると300kbps前後しかなかったという報告も上がっているようです。
参考までに言うと、ソフトバンクのスマホで通信制限を課されている時の最大速度が128kbpsとなります。
高速通信が当たり前だった人にとってはもどかしいほどに遅いでしょう。
詰まるところ、トーンモバイルは「安価で無制限に通信が可能」なのではなく、「最低限の料金で最低限の通信が可能」な、ライト層に適したキャリアと言えます。
最新機種「TONE e19」の使い心地
2019年現在、トーンモバイルのスマホとしては「TONE e19」が最新のものです。
動画をサクサク観るにはあまり適さないとはいえ、通常のネットサーフィンやメッセージアプリでのやり取りに支障はありません。
スマホに多くの用途を求めないライト層であれば、さほど不満を覚えないスペックでしょう。
逆に、Wi-Fiを使わず頻繁にスマホで大容量データの通信を行う人は他のキャリアを選んだ方が無難かと思います。
docomoの回線だから日本ならほとんどの場所で繋がる
トーンモバイルはNTTドコモの3G/LTE回線を使って通信を行っています。
当然、docomoがそうであるのと同様に、日本国内であればほとんどの場所で確実に繋がります。
格安スマホ・MVNOは3大キャリアと比較すると基本的に通信が遅いもの。
そんな格安スマホの中にあって、トーンモバイルはさらに通信速度が遅いキャリアなのです。
確かに、制限を受けることなく通信ができるという点は非常に魅力的でしょう。
ですが「通信無制限」と聞いた多くの人がイメージする、「ネットも動画もサクサク見放題!」という使い方は残念ながら不可能です。
よってトーンモバイルは、ネットに対する理解力が未成熟でスマホを使わせるにはまだ不安が残る子どもや、スマホに不慣れな高齢者といった人たちが使うのに適しているのです。
メインターゲットがこうしたいわばライト層ですから、月1000円という安価な料金と、ネットを最低限利用可能なスペックで提供しているわけです。
ミドル~ヘビーユーザーは別途モバイルWi-Fiを契約するか、楽天モバイルの「スーパーホーダイ」を契約した方がいいと思います。
「スーパーホーダイ」ならなんと高速通信モードがオフの状態でも最大1Mbpsでデータ通
信を使い放題。
これだけ出れば動画視聴も(低画質なら)快適にできるでしょう。
ただし混雑時には最大300kbpsまで低下してしまいますので注意してください。
実際の通信速度はどの程度?
トーンモバイルは、動画を快適に観るのが難しいほど通信が遅いキャリアです。
YouTubeを例に挙げましょう。
低画質再生(360p)時は少なくとも1Mbps(1024kbps)程度の速度が求められます。
一方、トーンモバイルの速度は500~600kbpsと、必要とされる速度の半分ほどしかありません。
よってYouTubeでは低画質再生さえ満足にできないわけです。
ユーザーからも次のような声が上がっています。
「YouTubeを観られるのは観られるけど、5秒くらいごとに読み込みで止まるんでイライラしちゃいます」
「YouTubeを観るのに必ずしも高速チケットは必要ない。それでも、画質は最低の144pじゃないとまともに動画を再生できない」
根本的な話をすると、トーンモバイルの速度は動画を観ることを想定していません。
アプリのダウンロードや動画の視聴など、大容量データの通信をしたい時には、その都度「高速チケット」を買って使うよう公式は勧めているのです。
動画をサクサク観たい時は「高速チケット」が必要!
高速チケットは、他の通信事業者で言うところの「高速データ通信量の追加購入」のこと。
トーンモバイルでは1GBずつ買えます。
高速チケットがある間は最大3Mbps(3072kbps)での通信が可能。
これだけあれば動画も快適に視聴できます。
高速チケットの料金は1GBにつきたったの300円。
これは大手のキャリアでデータを1GB追加購入する料金の1割ほど。
docomoだと2GBの追加に2500円もかかってしまうことを考えれば、驚くほどにリーズナブル。
ただし買える回数は1ヶ月間で最大10回と決まっているため注意が必要です。
1ヶ月間に2、3GB分くらいしか動画を観ない人なら、高速チケットを買うだけで事足りるでしょう。
とはいえ、既に固定回線がある人はWi-Fiを使ってアプリをダウンロードしたり動画を観たりするのを推奨します。
トーンモバイルの注意点
気を付けるべきことは通信速度の遅さだけではありません。
最低2年間は契約を継続する必要がある
トーンモバイルは契約から最低でも2年間(24ヶ月)は利用し続ける必要があります。
2年経たないうちに契約を解除したり他のキャリアに乗り換えたりした場合は違約金が発生し、9800円(税抜き)を支払わなければなりません。
しかしトーンモバイルは大手3大キャリアや、格安スマホの中でもUQモバイルやY!mobileなどとは異なり、契約期間が満了しても契約が自動で継続されることはありません。
2年を過ぎれば、自分の好きなタイミングで契約解除や乗り換えが可能です。
俗に言う「2年縛り」ではないので安心です。
2018年の4月以降は、既に持っているiPhoneで使えるSIMカードのみを契約できるプラン
「TONE SIM for iPhone」が開始されました。
最低利用期間が存在しないので気軽に使えます。
以前の端末(「TONE m14」「TONE m15」)に否定的な意見が多い
トーンモバイルに対する否定的なレビューは、2017年よりも前のものが非常に多いです。
こうした状況にはちゃんと理由があります。
今の最新機種「TONE e19」の登場前には、「TONE m14」「TONE m15」といった台湾メーカー製の端末でした。
ですがどちらも今のものと比べてスペックが低かったのです。
これらの端末へのレビューには、「GPSの精度が低い」「バッテリーの残量がすぐになくなる」といった声が非常に多いです。
お世辞にも満足のいくスペックではなかったことが分かります。
最新の「TONE e19」ならスペックは安心
以前の端末の評判を聞いて二の足を踏んでしまう人も多いかもしれません。
しかし今の最新機種である「TONE e19」にはそうした心配は無用。
各種スペックが相当向上したので、安心して使えるようになっているのです。
画面の面積を可能な限り広く取ってあり、デザイン面でもよりスタイリッシュに進化を遂げました。
まとめ
ここまでの内容を簡単におさらいしてみましょう。
■通信が制限なく使えて基本料金は1000円と破格の安さだが、その分通信速度は遅め(中速)
■主なターゲットは子どもや高齢者といったライト層
■便利な制限機能(「TONEファミリー」)があるため、子どもにも安心して使わせられる
■高速チケット(データの追加購入)やWi-Fiを活用しないと動画を快適に観るのは難しい
■「m14」「m15」といった前の型の端末は否定的なレビューが大半だったものの、最新の「e19」では性能が格段にアップした
■最低利用期間は、e17とセットで購入した場合は2年間
何度も言うように、トーンモバイルはスマホを目いっぱい使う層をターゲットにしていません。
普段は軽いネットサーフィンやメッセージアプリでの会話程度しかせず、時々動画の視聴をする程度の人や、初心者向けのキャリアなのです。
小さな子どもがうっかり使いすぎることもないため、親が子どもに与える初めてのスマホとしては非常に適しているでしょう。
TSUTAYAの実店舗でテスト利用が可能!
TSUTAYAの実店舗の中には、トーンモバイルの端末を試用可能なところもあります。
興味を持った人は、契約する前に一度実際に使ってみてはいかがでしょうか。
疑問に思ったこともその場でスタッフが教えてくれるので安心です。