「Windows11にアップデートしたら、Valorantだけが起動しなくなった…」
「プレイボタンを押しても反応がない、またはVanguardのエラーコードが出る…」
Valorantは、Riot Vanguardという強力なアンチチートシステムを採用していますが、Windows 11環境においては、このシステムが「TPM 2.0」と「セキュアブート(Secure Boot)」という2つのセキュリティ機能が有効になっていないPCでの起動を拒否します。
これはPCの故障でもゲームのバグでもなく、「BIOS(バイオス)の設定不足」です。
この記事では、黒い画面(BIOS)アレルギーの方でも迷わず設定できるよう、主要マザーボードメーカー別の設定手順と、それでも直らない場合のVanguard修復方法を解説します。
主なエラーコードと症状
- VAN 9001 / VAN 9003:「このビルドのVanguardにはTPM2.0とセキュアブート準拠が必要です」と表示される。
- VAN -1 / VAN -81:接続エラーだが、Vanguardが正常に動作していない場合にも出る。
- 起動してもすぐ落ちる:ロゴが出た直後にデスクトップに戻される。
ステップ1:まずは現状確認(TPMとセキュアブート)
BIOS画面に入る前に、Windows上で現在の状態を確認しましょう。
- Windowsキー + R を押し、「ファイル名を指定して実行」を開く。
msinfo32と入力してEnter。- 「システム情報」が開くので、以下の項目を探す。
- セキュアブートの状態:「有効」になっているか?
- BIOSモード:「UEFI」になっているか?
ここが「無効」や「サポートされていません」になっている場合、次のステップでBIOS設定を変更する必要があります。
ステップ2:BIOS(UEFI)画面に入る
PCの電源を入れ、メーカーロゴが出ている間に特定のキーを連打してBIOS画面に入ります。
- ASUS / MSI / ASRock / Gigabyte / ドスパラ等:
Deleteキー またはF2キー - HP:
F10キー - Dell:
F2キー - Lenovo:
F1またはF2キー
※Windowsの設定 > システム > 回復 > 「PCの起動をカスタマイズする(今すぐ再起動)」 > トラブルシューティング > 詳細オプション > 「UEFIファームウェアの設定」からも入れます。
ステップ3:【メーカー別】セキュアブートとTPMの設定手順
BIOS画面はメーカーによって見た目が違いますが、探す項目は同じです。まずは「Advanced Mode(F7キー)」などに切り替えてください。
ASUSの場合
- 「Advanced(詳細)」タブ > 「PCH-FW Configuration」 > 「PTT」をEnable(有効)にする。
※これがTPM2.0の設定です。 - 「Boot(起動)」タブ > 「Secure Boot(セキュアブート)」 > 「OS Type」を「Windows UEFI Mode」にする。
- 「Key Management」に入り、「Install Default Secure Boot Keys」を実行する(これで有効になります)。
F10キーを押して保存&再起動。
MSIの場合
- 「Security(セキュリティ)」 > 「Trusted Computing」 > 「Security Device Support」をEnableにする。
- 「Settings」 > 「Advanced」 > 「Windows OS Configuration」 > 「Secure Boot」をEnableにする。
- もし有効にできない場合は、「Secure Boot Mode」を「Standard」に変更してください。
F10キーを押して保存&再起動。
ASRockの場合
- 「Security」タブ > 「Intel Platform Trust Technology (PTT)」をEnableにする。
※AMDの場合は「AMD fTPM switch」。 - 「Security」タブ > 「Secure Boot」をEnableにする。
- もし「Install default Secure Boot keys」という項目があれば実行する。
F10キーを押して保存&再起動。
Gigabyteの場合
- 「Peripherals」または「Settings」 > 「Intel Platform Trust Technology (PTT)」をEnableにする。
- 「BIOS」タブ > 「CSM Support」をDisable(無効)にする。
※重要:CSMが有効だとセキュアブートが設定できません。 - 「Secure Boot」をEnableにする。
F10キーを押して保存&再起動。
注意:BitLockerについて
BIOS設定を変更すると、再起動時にBitLocker回復キーを求められる場合があります。Microsoftアカウントにログインして回復キーを確認できる状態にしてから作業することをお勧めします。
ステップ4:Riot Vanguardの再インストール
BIOS設定が完璧でも、Vanguard自体がバグを起こしていると起動しません。一度クリーンインストールしましょう。
- タスクバー右下の隠れているインジケータから、Vanguard(赤いアイコン)を右クリック > 「Exit Vanguard」。
- Windowsの設定 > 「アプリ」 > 「インストールされているアプリ」。
- 「Riot Vanguard」を探してアンインストールする(Valorant本体は消さなくてOK)。
- PCを再起動する。
- Riot Client(Valorantのランチャー)を起動すると、自動的にVanguardが再インストールされます。
- インストール後、もう一度PCを再起動する(必須)。
ステップ5:その他の原因(互換モードなど)
これでも起動しない場合、過去に設定した「互換モード」が悪さをしている可能性があります。
- デスクトップのValorantアイコンを右クリック > プロパティ。
- 「互換性」タブを開く。
- 「互換モードでこのプログラムを実行する」や「管理者としてこのプログラムを実行する」のチェックをすべて外す。
Windows 11において、これらのチェックが入っていると逆に起動しないケースが報告されています。
Q. 「CSMを無効」にしたらWindowsが起動しなくなりました。
- A. あなたのWindowsが入っているストレージ(SSD/HDD)の形式が、古い「MBR形式」である可能性があります。UEFI(セキュアブート)を使うには「GPT形式」である必要があります。一度BIOSでCSMを有効に戻してWindowsを起動し、
MBR2GPTツールなどを使ってディスク形式を変換する必要があります(上級者向け作業です)。 Q. Windows 10に戻せば動きますか?
- A. はい、動きます。Windows 10ではTPM 2.0とセキュアブートは必須要件ではないため、Vanguardもチェックを緩和します。どうしてもBIOS設定がうまくいかない場合は、Windows 10に戻すのも一つの解決策です。
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